オフィス移転マニュアル

1 移転計画の立案

(1)移転目的の明確化

「何のために移転するのか」を明確にした上で、立地条件や設備条件を検討します。

<移転目的の例>
  • ・人員増による拡充
  • ・新規拠点の開設
  • ・分散オフィスの統合
  • ・交通利便性の向上
  • ・コスト削減
  • ・企業イメージ向上
  • ・オフィス環境の改善

(2)移転先の条件設定

移転目的に沿って、移転先の前提条件を設定します。

<条件例>
  • 立地:交通利便性・周辺環境・イメージ(エリア・ブランディング)・ビジネスニーズ
  • 面積:人事計画に基づいた1人当たりのスペース、および特殊室のスペース
  • 予算:イニシャルコスト・ランニングコスト
  • 移転時期:人員採用時期や繁忙期との調整
  • 設備・管理:業務上不可欠な設備、管理体制

(3)移転スケジュールの作成

オフィス移転に必要な作業を整理して、大まかなスケジュールを作成します。

2 オフィスの選定

(1)オフィスの市況把握

オフィス市況の正確な把握は、移転の目的や希望条件の妥当性を判断する場合や、コスト面の条件を充たすエリアを選定する場合などに、大切なポイントです。また、移転のタイミングの決定やビルオーナーとの条件交渉を行う際にも役立ちます。

(2)ビル情報の収集

物件情報を収集する際には、移転目的の優先順位、バランスなどを考慮します。

<オフィス移転時に注意したい項目>
  • コスト:イニシャルコスト、ランニングコスト
  • グレード:外観、共用部、貸室内のイメージ共用部分の管理、清掃状態
  • 設備: 電気・ガス・水道、OAフロア、空調設備のタイプ・使用時間 、駐車場の有無
  • 管理:管理会社、ビルの入退館時間
  • 交通:最寄駅からの所要時間、取引先や他拠点への交通アクセス
  • 周辺環境:近隣の施設の把握(金融機関や商業施設)、最寄駅前の様子

3オフィスプランニング

オフィスプランニングを移転先決定後に行うと、レイアウトがうまくいかずスペースに無駄がでるなど、問題が出てしまう可能性があります。移転先の検討に入る早い段階でプランニングを進めることが、よりよい移転先の決定につながるポイントです。

<入居中オフィスの現状調査>
  • ・各スペースの面積、使用状況、稼働率
  • ・OA 機器の設置状況
  • ・什器の機能性や品質
  • ・書類量
  • ・照明や空調等の室内環境条件
<分析>
現状調査で得られた結果に基づき、改善の優先順位づけや改善の方向づけ、スペースの決定などを行います。移転後のオフィス改善のポイントが、移転先選定の目安となります。その際、新オフィスのコンセプトを明確にします。
<計画>
候補ビルが絞り込めたら正式な図面を取り寄せて、ゾーニングやレイアウトを行い、内装や什器についても検討します。その際、各スペースの利用方法、人員数や業務スタイルの今後の変化への対応力等、運用面についても配慮が必要です。

4 賃貸借契約

(1)移転先ビルの契約

1. 入居申込

社名、住所、代表者名、業務内容、取引銀行、使用形態などを記入し、会社案内等を添えて賃貸人に提出します。賃貸人は、これに基づいてテナントの信用調査を行います。また、申込書と同時あるいは契約時に以下のような書類を提出することがあります。

  • ・会社の印鑑証明書
  • ・代表者の印鑑証明書
  • ・会社の登記簿謄本
2. 重要事項の説明

賃貸人の承諾が出れば、賃貸借契約が成立するまでに、仲介業者等の宅地建物取引士から重要事項(建物・設備・契約の内容、契約期間と更新・解除、法令による制限等)について記載された書面(重要事項説明書)の交付による説明を受けます。

3. 敷金・保証金の支払い

契約締結日前日までに、預託金(敷金・保証金)を預け入れます。ただし、契約締結から入居までの期間が長い場合は、契約時に預託金の一部を預け入れる場合もあります。

4. 契約書に押印

重要事項の説明を受けた後、契約の締結を行います。
賃貸借契約は、従来通りの借家契約(普通借家契約)と、定期借家契約に大別されます。押印するまでに契約書のすべての条項をチェックし、仲介業者等に相談し調整します。

(2)現オフィスの解約手続き

移転先決定の目途が立ったら、現入居ビルを退去する準備に入ります。現在締結している賃貸借契約書を再度確認し、契約書に基づいて賃貸人に解約通知します。契約書に詳しく述べられていない場合は、話し合うことも必要になるため、事前によく確認しておきます。

5移転準備

(1)引越し業者

引越し業者は、引越し作業の企画・提案からアフターケアまで一貫して行うところもあれば、それぞれの作業を別々に考えて契約するところなど、様々です。そのため、運送費用も画一的なものにはなっていません。依頼する際のポイントとしては、依頼する作業内容を明確に伝え、数社から見積りを取り、比較検討して決定します。

(2)各種届出

必要な各種手続きについてリストにしました。

  • ・手続き先
  • ・手続き内容
  • ・窓口
  • ・添付書類
  • ・提出期限 など

ご自由に下記よりダウンロードをしてご活用ください。

6新オフィスの運用

運用管理は、オフィスを安全に、快適に、効率よく活用するうえで重要です。引越しを機に、マニュアル化やデータベース化を図り、スムーズな運用管理を行います。また、委託先と契約する場合は、委託条件を明確にします。

新オフィス運用ルールのポイント

・安全管理
ビルの安全管理システム(入出管理、防犯管理、非常通報、設備情報制御、設備情報監視等)の再点検
不足部分の補填
・運用管理
  • 入退館規定の作成(ビル利用規定に基づく)
  • 専有部分の入退室規定の作成
  • 鍵管理規定の作成
  • 特殊施設(駐車場、サーバールーム等)、会議室、応接室の利用規定の作成
・環境管理
  • 設備の運転条件の設定(節電を考慮)
  • 廃棄物の処理方法の設定(リサイクルを考慮)
  • 喫煙規定の設定
・スペース管理
スペーススタンダードに基づくスペース管理
(組織変更に伴うレイアウト変更への柔軟な対応)
・資産管理
クライアントPC、OA機器、什器・備品等の配置や数量の管理

オフィス移転チェックシート

オフィス移転チェックシート

オフィス移転プロジェクトに必要な作業をリストにしました。

・移転プランニング
・社内印刷物
・電話回線の移転依頼  など

ご自由にダウンロードをしてご活用ください。